【保存版】法人の税金や保険まとめ

ゼロ円起業の中村です。

今回は法人の【税金】と【社会保険】について。

 

⇒ 個人事業主の税金と保険まとめはこちら

 

サラリーマンなど雇われていた時代にはなかった法人ならではの税金がありますので、知識として覚えておくといいですよ。

 

また、後半では社会保険についても解説しています。

法人の種類

そもそも、「法人」と一言で言ってもいくつか種類があります。

・株式会社

・合同会社

・合資会社

・合名会社

・一般社団法人

・一般財団法人

・NPO法人

 

ただ、ほとんどの場合は「株式会社」か「合同会社」を選択しています。

 

⇒「株式会社」と「合同会社」どっちがいいの?

法人の税金や保険料の種類

独立開業して法人を設立したら、主に下記の税金や保険料がかかります。

 

・法人税

・法人事業税

・法人住民税

・消費税

・社会保険

 

1つずつ解説していきます。

 

法人税

『法人の所得(利益)』に対してかかる税金

法人税は「法人の所得(=税引き前利益)」に対してかかる税金です。

 

法人税の税額は下記の通りです。

法人税はちょうど今年(2018年)、税率が変わります。

 

上記の「所得金額」というのが「税引き前利益」のことです。

 

所得金額が800万円超の法人は税金がわずかに安くなり、逆に800万円以下の法人は税金が高くなります。

 

立ち上げ間もないベンチャー企業にとってはマイナスの改正ですね。

 

ちなみに、上の図の「資本金1億円以下、所得金額800万円以下」の法人で、3月31日以前に事業年度が始まっている法人については税率は「15%」が適用されます。

法人の利益は5種類ある

上記で「所得金額」というのがありますが、これは法人の「税引き前利益」を指します。

 

そもそも、法人には5種類の利益があります。

・粗利益

・営業利益

・経常利益

・税引き前利益

・純利益

 

もちろん、すべてを覚える必要はなく「5種類あるんだ~」くらいで大丈夫です。

細かいことは税理士に任せましょう。

法人事業税

都道府県によって税率が異なる法人事業税

個人事業主に「個人事業税」があるように、法人にも「法人事業税」というものがあります。

法人事業税は都道府県によって税率が異なるので、各都道府県のホームページで確認してください。

東京都の法人事業税率


(※2018年3月5日現在)

ここでいう「所得金額」というのも「税引き前利益」を指しています。

法人住民税

法人税額をベースにかかる税金

法人住民税の特徴の1つが「法人税額」をベースに税金を算出すること。

また、法人住民税は「所得割」と「均等割」に分けられます。

法人住民税の「所得割」

法人住民税の所得割は、その事業年度の法人税額に法人住民税率が適用されます。

 

【法人事業税の所得割=法人税額×法人住民税率】

 

この所得割の税率は事務所を構えている地域によって税率が異なるため、各都道府県・市町村のホームページで税率を確認してください。

 

参考までに、東京都で資本金1億円以下、法人税額1,000万円以下の場合は、

【12.9%】

です。

法人住民税の「均等割」

おそらく、この均等割が一番複雑です。

 

法人住民税では所得割とは別に、「均等割」というのも納める必要があります。

この均等割とは、法人税額に関わらず、赤字企業であっても納めなければいけない税金です。

 

こちらも都道府県や市町村によって金額が異なるだけでなく、東京都内だけで見ても、23区内と市町村で税額が違うのです。

 

なので、非常に複雑です。

 

ここでは、東京都内の23区内に事務所を構えるケースのみご紹介します。

東京都23区内に事務所を構える法人の均等割

法人住民税の計算例

わかりやすく、

事務所は23区内に本店のみ。

資本金【1,000万円以下】

従業員数は【50名以下】

今期の法人税額が【100万円】

という場合、

 

所得割は、

100万円×12.9%=129,000円

 

均等割は、

70,000円

 

合計で、

【199,000円】

が法人住民税額となります。

事務所数や事務所の所在地によって様々

法人住民税が複雑な理由は、事務所が複数あると、それぞれの事務所の従業員数の割合によって金額が変わってくるからです。

上記では23区内のみの場合を掲載していますが、これが東京都内の市町村にも事務所がある場合や、別の地域(埼玉とか千葉とか)にある場合となると、計算がややこしくなります。

 

なので、こういうことも税理士に任せてしまいましょう。

ただし、任せっきりだと税金の納付時期直前になってトラブルが起きやすいので、ある程度自分でも把握しておくことをオススメします。 

消費税

法人設立後2年間は消費税を納税しなくてよい

これは意外と知らない方が多いのですが、

法人を設立してから2年間は『免税事業者』と言って、消費税の納税を免除されます。

また、2年経過後も前々年の売上が1,000万円を超えていなければ免税事業者のままでいられます。

 

例えば、2018年に株式会社を設立した方で、

2018年度の年間売上が1,500万円だったとしたら、

2020年に『課税事業者』となり、その年から消費税を納める必要があります。

 

2018年度の売上が990万円だったとしたら、

2020年も『免税事業者』のままでいられます。

2年間の猶予がもらえない場合

ただし、2年間の『免税事業者』になれない場合が2つだけあります。

初年度から資本金が1,000万円以上の場合

株式会社の場合、最初から資本金が1,000万円以上あると、免税事業者にはなれず、翌年から消費税を納めることになります。

 

なので、たまに資本金【990万円】の会社がありますが、おそらくこれを考えてのことだと思います。

 

また、『資本準備金』というものを活用する企業もあります。

出資金を資本金と同額まで『資本準備金』という別枠で

上半期の売上と給料総額が1,000万円を超えた場合

1月~6月の売上と給料総額(役員報酬含む)の額が両方とも1,000万円を超えた場合

 

2018年度の1月~6月の売上が6,000万円
半年間の給料支給総額が1,500万円

 

だった場合、それぞれ1,000万円を超えているので、2019年度からは『課税事業者』となり、消費税の納税をする必要があります。

 

ポイントは

『「売上」と「給料」の両方が1,000万円を超えたら』

ということ。

 

誤解しがちなのが、売上が1,000万円を超えたら翌年から消費税が発生すると思われがちですが、役員報酬も含む給料支給総額が1,000万円を超えていない限りは『免税事業者』でいられます。

課税事業者から免税事業者に戻れる?

例えば、2018年度の売上が1,000万円を超えて、2020年度から『課税事業者』になったとします。

 

ただ、その後売上が下がり、2021年度の売上が1,000万円以下に戻ってしまった場合には、また『免税事業者』に戻ることができます。

 

不思議なルールですが、今のところはこのような仕組みになっているようです。

2019年10月からは消費税が10%に上がる

すでにご存じの方も多いと思いますが、2019年10月から消費税は現行の8%から10%に上がります。

社会保険

法人は社会保険加入が必須

次は「社会保険」。

 

『社会保険と国民健康保険の違いがよくわからない』

という話をよく聞きます。

 

勤めている時はほとんど何も気にする必要がなかったものの、自分で法人を設立するとこういうことも理解しておかなければいけません。

 

私の知り合いの社長は、この社会保険料で苦労している方もたくさんいますし、最悪、社会保険料が支払えずに倒産してしまうというわけのわからないことも起こりえます。

 

これから独立開業する方はしっかりと理解しておいてください。

社会保険の種類

社会保険は、下記4つの保険の総称です。

・雇用保険

・健康保険

・厚生年金保険

・労災保険

 

雇用保険とは?

雇用保険とは、別名【失業保険】です。

失業時にハローワークに申請したらもらえるあの保険の原資が雇用保険ということです。

健康保険とは?

健康保険に加入することで【保険証】がもらえます。

病院や歯医者に行く時、保険証を出すことで自己負担の割合が2割(小学校入学前or現役以外の70歳以上)や3割(小学生~70歳未満or現役の70歳以上)になりますよね。

残りの7割8割をこの保険で負担しているということです。

厚生年金保険とは?

定年退職後に国民年金にプラスしてもらえる年金の原資です。

国民年金だけだとわずかな年金額ですが、この厚生年金があることでそれなりの額になります。

また、業務外における障害認定を受けた場合は障害年金、加入者が死亡した場合は遺族年金を支給するための原資でもあります。

労災保険とは?

勤務時間中にケガや病気をしたときの治療費や賃金補償、障害が残った場合の障害年金、死亡時の遺族年金が支給されるための原資です。

社会保険と国民健康保険の違い

法人で働いている時にかかっている「社会保険(=社保)」と、個人事業主の多くが加入する「国民健康保険(=国保)」は何が違うのか?

 

社会保険は4つの保険の総称でしたが、そのうち国保と対比されるのが社会保険の中の「健康保険」の部分が多いです。

 

専門的なことは他のサイトに任せるとして、簡単に解説します。

大きくは下記3つの違いがあります。

「扶養家族」という概念があるかないか

健康保険には「扶養」という概念があり、予め定められた家族(親族)を扶養家族とみなします。

扶養家族は何人いても保険料は変わりません。

 

一方、国民健康保険には「扶養」という概念がありません。

そのため、世帯での加入者が増えれば増えるほど保険料も上がります。

「傷病手当金」「出産手当金」があるかないか

健康保険では、「傷病手当金」という病気やケガなどで働けなくなったときに、1年半を上限に収入の3分の2が4日目から支給されるという手当金があります。

 

また、「出産手当金」という出産前後で働けない期間に、産前産後計98日間、収入の3分の2が支給される手当金もあります。

 

一方、国保では、こうした手当金がありません。

保険料の負担額

社会保険は「会社と従業員が保険料を折半する」という考え方があります。

 

もし前の職場で社会保険に加入していたのであれば、あなたが支払っていた保険料と同額を会社も負担していたということです。

 

ご自身で法人を設立し、従業員が増えていくとこれが重くのしかかります。

 

法人は社会保険への加入が必須

法人を設立すると、社会保険への加入が必須となります。

個人事業主の場合でも、常時従業員(パートアルバイト含む)が5名以上働いていると必須となります。

社会保険料率

社会保険料は都道府県によって異なります。

東京都の場合は下記の表によって決められます。


(※協会けんぽホームページより抜粋)

 

社会保険料は年齢が40歳以上になると【介護保険料】というのが付け加えられるため保険料が上がります。

 

例えば、月の給料が25万円の30歳の従業員がいた場合、その従業員にかかる社会保険料は

従業員負担:12,870円+23,790円=36,660円
会社負担:12,870円+23,790円=36,660円

合計:73,320円

となります。

 

月の給料が30万円の41歳の従業員がいた場合、その従業員にかかる社会保険料は

従業員負担:17,205円+27,450円=44,655円
会社負担:同額の44,655円

合計:89,310円

となります。

 

都道府県別の社会保険料については、協会けんぽのホームページをご覧ください。

社会保険の算定月は決まっている?

最後に、社会保険料が決まる仕組みについて。

 

1年間の社会保険料は

毎年4月~6月の3ヶ月の平均報酬額(=給料額)で決まります。

 

そして、その月の8月~9月にかけて社会保険料が変更されます。

 

報酬となるものとしては、基本給はもちろん残業手当、休日手当、皆勤手当、役付手当などが含まれます。

 

また、通勤手当、家族手当、住宅手当、食事手当なども報酬となります。また、定期券など現物給付されているものも、その時価相当と計算されて報酬に含まれます。

 

報酬に含まれないものとして、退職手当や結婚祝金、出張旅費や出張手当などがあります。

 

そのため、例えば4月~6月にかけてたまたま従業員の残業が多くなってしまった場合には、その分向こう1年間の社会保険料が上がる可能性があるということです。

 

多少の違いであればたいしたことないですが、たまたま春先に仕事が忙しくなり、従業員の残業が一気に増えた、なんてことになると注意が必要かもしれません。

 

会社も負担額が大きくなるし、何より従業員の負担額も大きくなるからです。

まとめ

税金と保険でトータルこれくらい引かれる

改めて、税金と社会保険をまとめると、


(資本金1億円以下で東京23区内に本社がある会社の場合)

 

ざっと、約30%は税金で引かれ、別途社会保険料も引かれる計算です。

 

上記には消費税は含まれていないので、消費税も含めるとざっくり【40%前後】は税金や保険で引かれる計算となります。

 

これを意識せず、税金として納めるお金まで設備投資などに当ててしまうと、決算時に大変な目にあいます。

 

場合によっては、税金や保険料が納められずに資金ショートして廃業することもあります。

 

特に、社会保険料の取り立ては年々厳しくなってきています。

 

実際にこれが原因で廃業せざるをえなかった会社も何社も見てきています。

専用口座を用意しておく

これは私たちからの提案なのですが、可能であれば

税金・保険専用の口座を別に1つ用意しておく

といいでしょう。

 

毎月、出た利益の中から約半分ほどをこの専用口座に入れておくんです。

 

それで、残った現金の中から各種支払いや借入金の返済、設備投資などにまわすというやり方です。

無料相談時にシミュレーションも行っています

ゼロ円起業を使う方へは、無料相談の際に提携税理士とともにこうした税金や保険料も含めた事前の数字シミュレーションも行っています。

 

お客様から聞いた内容を踏まえ、売上や利益を予測し、キャッシュフローはどうなるのか、実際に生活していくためにはどれくらいの稼ぎが必要かといった内容です。

 

いわゆる【未来会計】というものです。

 

経営者にとって大切なのは、過去の数字を整理してみる(=過去会計)ではなく、未来の数字をより具体的に見る(=未来会計)ことです。

 

私たちの提携税理士はほとんどがこの【未来会計】を得意とする税理士です。

 

ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。