ゼロ円起業の中村です。
私は約10年間、調理系専門学校で非常勤講師をしていました。
担当は「カフェビジネス科」。
これからカフェで働きたいという学生に対して、カフェ経営について教えていました。
学生と言っても、高卒上がりが約半分、社会人経験者が約半分。
全体の約1/3が将来独立を考えているというクラスでした。
当時教えていた内容も交えて、今回は、これからカフェ経営をしたいと考えている方へいくつかポイントをお伝えします。
カフェ経営は一番難しい
これまで色々な飲食店の開業に携わってきていますが、その中でも「カフェ」が一番継続するのが難しい、というのが個人的な印象です。
非常勤講師をしていた頃も、一番最初の講義で必ず伝えていたのが、
「カフェ経営なんてやるもんじゃない!」
ということ。
というのも、飲食業の中でカフェが一番儲かりません。
初期投資額は大きいが、客単価は低く、回転率も悪いため、回収に時間がかかる。
開業するだけなら誰でもできますが、継続していく、ましてや老後資金も確保していくことを考えると、カフェ経営は一番避けたほうがいいといのが私の結論です。
とは言え、数は非常に少ないですが上手くいってるカフェがあるのも事実です。
リスクが高いのを承知で、
「どうしてもカフェを開業したい!」
ということであれば、下記を参考にしてみてください。
あなたの強みは何ですか?
カフェ経営をするのであれば、他の飲食店よりも
「強み(売り)」を徹底的に磨き上げる
必要があります。
例えば、あるカフェは提供するフードをすべて「石窯」の器に入れて提供しています。そうすることで、熱い料理は最後まで熱々で、冷たい料理は最後まで冷たい状態で食べられるというのを売りにしています。
さらに、毎月1回これからカフェを開業したいという方に対して勉強会も開催しています。
あるいは、最近銀座に出店したカフェは「ぷるぷる無添加ホットケーキ」を売りにしていてメディアでも取り上げられていましたね。
あるいは、ルノアールのように立地を売りにしているところもあります。
どのお店も自分のお店の売りが明確で、他と比較された時に優位なポジションを取っています。
カフェは、この圧倒的な「売り」が必要不可欠です。
考えてみてください。
単にコーヒーを飲むだけだったら、スタバやタリーズなど安くて美味しいコーヒーが飲めるカフェがたくさんありますし、コンビニコーヒーもあります。
フードで攻めるとしても、食事系・スイーツ系いずれも圧倒的なウリがないと、他の飲食店に簡単に負けてしまいます。
だからこそ、他のお店には絶対に負けない!という圧倒的な売りが必要になるのです。
売りが見つけられないうちは絶対に開業しちゃいけません!
100%とは言わないものの、限りなくそれに近い確率で失敗しますから。
コーヒーの味で勝負!は時代遅れ
「うちはハンドドリップで1杯1杯手間を掛けて出しています」
一昔前ならそれが売りになったかもしれません。
しかし、今の時代はどうでしょう。
確かにそういうコーヒーを飲みたいというお客様も一定数存在します。
ただ、お店の経営を考えた時に、数少ないそういうお客様をターゲットにして商売が上手くいくでしょうか。利益をしっかり確保できるでしょうか。
正直、難しいですよね。
コーヒーの味の違いでお店を選ぶ人がどれだけいるのか、って話です。
これはあくまでも個人的な意見ですが、コーヒーの味で勝負というのは時代遅れです。
それよりも、他の差別化要因で勝負するべきです。
カフェはコーヒー以外で勝負
ドリンクでの差別化が難しいカフェでは、それ以外で売りを見つけていかなければなりません。
多くが「フードメニュー」で勝負しています。
先程の石窯のお店も、ぷるぷるホットケーキもそうです。
昔のように、サンドイッチやカレーといった軽食の提供だけでは勝負にならないということです。
そのため、
「料理の腕」と「創作能力」
が重要です。
ゼロ円起業で相談に来る方の中にも、フレンチ出身でカフェをやりたいという方や、和食店で働いていてカフェで独立したいなど、ある程度調理経験のある方がその経験を活かしてカフェをやるという方がいます。
これはアリです。
こういう方たちはフレンチの手法を取り入れたスイーツカフェ、和カフェなど他のお店にはない売りが出せるからです。
フード勝負は難しいというのであれば、お店全体で特徴を創る必要があります。
例えば、サラリーマンをターゲットにして全席完全喫煙カフェとか、漫画が大量に置いてあるとか、学生相手の安くてボリュームのあるフードメニューを出すとか。
小中学生をターゲットにした「カードバトルカフェ」の相談を受けたこともあります。
こういう切り口であれば、勝負できる可能性はありますよね。
いずれも、
「ドリンク以外で他にはない売りで勝負」
です。
カフェを開業するなら、他にはない突き抜けるくらいの売りを見つけ出してください。
多店舗展開を前提に考えていく
カフェは薄利多売の商売です。
原価数円の1杯のコーヒーを数百円で提供するので、儲かりそうに見えますが、回転率は悪く、客単価も低いので、利益額はたいした額にはなりません。
ましてや、ライバルはカフェだけではなく、すべての飲食店とコンビニ。
そんな中で勝ち残っていくには、よほど客入りがいいか、単価が高くないと1店舗だけではやっていけません。
それができるのであれば、1店舗だけでも勝負できるかもしれませんが、多くの場合、多店舗展開を前提に考え、1店舗あたりの利益は少なくても店舗数で勝負していく必要があります。
その前提に立ってお店のオペレーションを考えていく必要があります。
集客はオープン前から始まっている
最後に集客について。
開業後は色々と広告を打ったり、チラシを撒いたりするかと思いますが、スタートから濃いお客様に来店していただくためには、オープン前に仕掛ける必要があります。
そのために「ブログ」と「SNS」をフル活用します。
ブログは無料ブログでもいいですし、WordPressと言ってホームページ制作にも使われているブログでも構いません。
SNSは「Instagram」「Facebook」、若者をターゲットにするなら「Twitter」も加えるといいでしょう。
SNSを入口として、ブログへ誘導。
ブログでは、お店ができるまでのストーリーやあなた自身のストーリーを書き綴っていきます。
例えば、
「今日から内装工事が始まりました」
「今日はメニューの試作をしました」
「カウンターが入りました」
「なぜ私がカフェをやろうと思ったのか?」
「オープンまで後3日」
「テイクアウトの予約はじめました」
など
SNSに投稿する時のポイントは
「毎日書くこと」
と
「#(ハッシュタグ)を効果的に入れること」
毎日、同じ時間に投稿することで見てもらいやすくなるのと、ハッシュタグ検索が増えてきているため、検索されやすいハッシュタグを入れていくことがポイントです。
その上で、ブログに誘導し、しっかりと記事を読んでもらう。
人はストーリーに惹きつけられます。
お店のストーリー、自分自身のストーリーをきちんと丁寧に伝えていくことで、開業前からファンになってもらう。
そのためにも、ブログとSNSをフル活用して1人でも多くの方に情報を届け、応援してもらえるようになりましょう。
まとめ
正直、カフェ開業はオススメしません。
ただ、圧倒的な売りが明確で、今後のビジョンがはっきりしている場合に限り勝負してもいいかな、と思います。
あなたのやろうとしているカフェは圧倒的な売りがありますか?
今後のビジョンがはっきりしてますか?
改めて自問自答してみるといいかもしれません。