【第7回】事業再構築補助金の審査ポイント

先日、第7回(次回)の事業再構築補助金募集要項が発表されました。

第6回からの変更点は、下記3点です。

①原油価格・物価高騰等の、予期せぬ経済環境の変化の影響を受けている中小企業等を対象に、補助率を3/4に引上げた「原油価格・物価高騰等
緊急対策枠(緊急対策枠)」を創設【P2以降】

②審査項目(再構築点)について、足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響度合いや、感染症等の危機に強い事業であるか等の観
点を含めた項目に見直し【P38】

③その他、正確性を期すこと等から一部の表現を修正

今回は改めて事業再構築補助金の申請ポイントを解説していきます。

募集要項はこちらからご確認いただけます。

審査項目について

審査項目は大きく変わっていませんが、最初の頃と比べるといくつか追加されたものがあります。

改めて審査項目についてまとめると以下の通りです。

事業化点

①本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は連携体各者の財務状況等も踏まえ採点します。

②事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。

③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。

④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

再構築点

①事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。※複数の事業者が連携して申請する場合は、連携体構成員が提出する「連携体各者の事業再構築要件についての説明書類」も考慮し採点します。

②既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスや足許の原油価格・物価高騰等の経済環境の変化の影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。

③市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。

④先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。

⑤本補助金を活用して新たに取り組む事業の内容が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応した、感染症等の危機に強い事業になっているか。

政策点

①ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済社会の変化に伴い、今後より生産性の向上が見込まれる分野に大胆に事業再構築を図ることを通じて、日本経済の構造転換を促すことに資するか。

②先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。

③新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えてV字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。

④ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

⑤地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより、雇用の創出や地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。

⑥異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

ポイント

審査員はこの審査項目について順番に審査・採点しているものと思われるので、事業計画書ではこの順番通りに内容を記載していくのがいいかと思われます。

具体的に事業計画にどのような内容を書いていけばいいのかも募集要項内に書かれています。

具体的な記載内容

1:補助事業の具体的取組内容

① 現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載してください。

事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。

※必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載してください。

② 応募申請する枠(通常枠、大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠、最低賃金枠、グリーン成長枠、緊急対策枠)と事業再構築の種類(「事業再編型」、「業態転換型」、「新分野展開型」、「事業転換型」、「業種転換型」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成してください。どの種類の事業再構築の類型に応募するか、どの種類の再構築なのかについて、事業再構築指針とその手引きを確認して、具体的に記載してください。

③ 補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。

④ 既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載してください。

⑤ 個々の事業者が連携して遂行する事業である場合、又は、代表となる事業者が複数の事業者の取り組みを束ねて一つの事業計画として申請を行う場合は、事業者ごとの取組内容や補助事業における役割等を具体的に記載してください。

2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)

① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などを記載してください。
(参考)
〇経済産業省において、市場動向等を簡易に把握できる「統計分析ツール」を公開しています。鉱工業品約1,600品目を対象として、簡易な操作で生産動向等をグラフ化することができます。必要に応じて、自社の事業計画作成にご活用ください。具体的な活用方法を分かりやすく解説する動画もあわせてご覧ください。
・統計分析ツール「グラレスタ」のURL:https://mirasapo-plus.go.jp/hint/14583
・解説動画のURL:https://www.youtube.com/watch?v=eOJtZc2jTcE
〇内閣府において、知財が企業の価値創造メカニズムにおいて果たす役割を的確に評価して経営をデザインするためのツール(経営デザインシート)やその活用事例等を公表しています。事業計画の作成に際し、必要に応じてご活用ください。
・首相官邸HP「経営をデザインする(知財のビジネス価値評価)」https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html

② 本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載してください。

③ 必要に応じて図表や写真等を用い、具体的に記載してください。

3:本事業で取得する主な資産

① 本事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、分類、取得予定価格等を記載してください。(補助事業実施期間中に、別途、取得財産管理台帳を整備していただきます。)

4:収益計画

① 本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等について具体的に記載してください。

② 収益計画(表)における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載してください。

③ 収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行います。

ポイント

上記の記載内容を抜け漏れなく記載した上で、それ以外の審査項目についても書いていくと採択率は上がっていくと思われます。

実際、弊社ではそのような書き方をしています。

ぜひ参考にしてみてください。